たまには機材について語ってみる
レースレポートではいつもサラッと流している機材について語ってみるテスツ。
(1)ギア比シミュレーション
似非理論派である自分の愛読ブログ、0yamaさんの「Low Tech Cycling」からギア比シミュレーションをパクってます。シミュレータのところだけは自作して高所効果(Bassett)を追加していますが。
下のグラフは乗鞍フルコースを一定強度で60分(ケイデンス:80rpm, チェーンリング:50x34T)で走った時のギア比シミュレーション結果です。オレンジがインナー(34T)、グリーンがアウター(50T)でカバーできる範囲になります。ケイデンス80rpm堅守だと34T x 28Tが欲しいですね。
どこかで見たことがあるグラフ(その1)
ではケイデンス60rpmまで落ちるのを許容するとどうなるか。34T x 25Tでなんとかなりそうです。28Tがあれば多い日も安心(何
どこかで見たことがあるグラフ(その2)
さらにケイデンス100rpmまで回すことを想定するとこうなります。するとなんと34T x 11Tで緩斜面区間もカバー可能に(ナ、ナンダッテー
どこかで見たことがあるグラフ(その3)
つまりある程度(60rpm~100rpm)の範囲でケイデンスの変化を許容する前提で乗鞍は「フロントシングルはアリ」となるわけです。 「いや、わしは絶対80rpmじゃなきゃ嫌じゃ!!」という方はフロントダブルでどうぞ。
(2)フロントシングル化(実践編)
フロントシングル化のメリットは『軽量化』『シフトチェンジ』。一方デメリットは『チェーン落ちのリスク』これに尽きます。
最大のメリットかつ目的である『軽量化』はフロントのアウター・チェーンリング、フロント・ディレイラー、ワイアー類が不要になることから得られます。中級グレードのこれら一式を計ってみると200g強なので軽量化効果が1.0kg=60秒といわれる乗鞍では12秒分のアドバンテージになります。
フロントシングルにするとこのくらい軽くなる(Forceグレード)
メリットの2つめ『シフトチェンジ』はフロントチェーンリングのシフトが要らない(出来ない)ために余計な事を考えなくて済む、です。 貴重な酸素の消費を減らせますね(ぇ
フロントシングルの唯一にして最大のデメリット『チェーン落ち』です。通常チェーン落ちはフロントをアウターからインナーに変速した時に"内側に"落ちる事をさしますが、フロントシングルはリアをトップ側に変速した拍子に"外側に"落ちます。これは必ず起こるわけではないですが発生すると降りてチェーンをかけ直さなければならなくなる(=大幅なタイムロス)のでなんとか避けたいところです。市販の対策品だとシクロクロス用の製品(バッシュガード+チェーンウォッチャー)などがあるのですがソコソコ重くなってしまいシングル化のメリットがあまりでません。 そこで自分はこんなデバイス(チェーンウォッチャー)を自作しています。
+10gくらいになりますがこれで多い日も安(ry
最後にフロントシングル化の考慮点としてパワーメーターとの相性もあります。クランク型パワーメーターの大多数(SRM、Cinqo、Power2Max)がスパイダーにストレインゲージを持っていてチェーンリングの剛性によってパワー表示が変わってしまいます。このためただアウターを取っ払うだけでなく自家校正する必要がありますし、自家校正しても正しい値が得られるかどうかは未知数です。なので誰か人柱してみてください(エー PowerTapかクランクアームにストレインゲージを持っているタイプが無難でしょう。
(3)軽量化総論
フレームその他の機材はわりと一般的(3T Teamグレード、SRAM Forceグレード)で超軽量パーツの類は使っていません。トップの写真の状態で5.86kgでバーテープを巻けば普通にロードレースも走れます(UCI規定には引っかかりますが)
もしヒルクライムに向けて自転車を軽量化したいとお考えの方は単価の安い部品から軽量化するのが費用対効果が高くてオススメです。雑誌の軽量化特集で大々的に取り上げられるフレームやホイールではなく、タイヤやチューブ類やサドル、ステム、シートポスト、ハンドルあたりからがお小遣い的にも丁度良いではないでしょうか。